2019年 宅録もタブレットの時代か

ふとしたきっかけで、長らく離れていた自宅録音の世界に舞い戻ってきました。5-6年ぶりに宅録をやろうとしても、当時使っていたDAWや音源はすでに使えなくなっているものが多く、ほぼ真っさらな状態から環境を整えることになりました。

DAWや音源の使い方を新しく覚えるコストを最小限に抑えるべく、なるべく以前使っていたDAW、音源に近いものを揃えました。

  • DAW: Cubase 10 Pro
  • ドラム音源: BFD 3
  • アンプシミュレーター: AmpliTube
  • オーディオインターフェイス: iRig HD 2
  • モニターヘッドホン: Audio Technica ATH-M20X

宅録を本格的にやっていた10年前と比べると、かなり色々なものの状況が変わったなと感じます。macの性能が格段に良くなったこともあり、BFDもサクサク動きますし、ギタートラックを大量に作ってそれぞれのチャンネルでAmpliTubeをInsertしても全然ストレスを感じず、実に快適です。

さて、iRig HD 2はmacだけでなくiPhone / iPadにもつなぐことができ、iPhone / iPad用のAmpliTubeアプリを使うとギター/ベースを録音することができます。最初は、アレンジの段階の雑な仮テイクを録る時に使っていた程度だったのですが、その後しばらく作業を進めているうちに、ギター/ベースの録音はタブレットでやる方が良いなと感じるようになってきました。

場所を選ばないので無理ない体制で録音できる、というのも嬉しいのですが、僕の家の環境ではiMacで録音するよりもiPadで録音した方が圧倒的にノイズが少なくクリアな音で録音できます。電源からくるノイズがないことが大きな理由だと思います。

iPad版のAmpliTubeでラフな音作りをして録音、良いテイクが録れたら加工前の生音を書き出してmacのCubaseで読み込み、そこでもう一回細かい音作りをする、というフローは若干面倒臭い部分もあり、最高だとまでは言えないですが、今後iPad / mac間の同期がもっとシームレスになれば、本格的に録音はタブレットで、という時代がくるのではないかなと期待しています。

そんな感じで久しぶりに宅録に関する投稿を書いていこうと思います。

2019年2月

Cubase 6 発表

Steinbergのホームページ上で、Cubase 6が発表されました。発売は3月の予定です。

色々な機能が目玉として追加されていますが、注目はドラムトラックの編集機能。Cubase 5ではボーカル/リードに特化した機能が追加されましたが、今回はドラムトラックです。タイミング補正だけでなく、オーディオトラックからMIDIに変換する機能など、興味深い機能が沢山追加されています。

他にも音源でより細かい表現を可能にするVST Expression 2や、ギターアンプシミュレータの搭載、新しい音源の搭載等が行われるようです。

本家サイト (1/14現在、非常に重くなっているようです)

[無料で試せる音源シリーズ]T-RackS 3

第三弾として紹介するのは、マスタリングの定番ソフトT-RackS 3です。

このT-RackS 3、フルバージョンを普通に購入しようとすると6万円前後するソフトウェアです。含まれるエフェクターはイコライザやコンプレッサ、リミッタ等のマスタリング専用のエフェクター群です。この手のエフェクターは、最近のDAWには大抵でフォルトのプラグインとしてバンドルされていることも多いので、果たして6万円も出して購入する価値があるのか、と思われる方もいるかと思います。

結論から言うと、T-RackS 3はマスタリング専用ソフトということもあって、普通のコンプ/イコライザのエフェクターとは全然違う操作性を提供してくれます。普通のソフトになく、T-RackSにある一番大きな機能は充実したメーター類です。どの音域がどの程度出ているのか、オーバードライブしていないか、などを細かくチェックできます。マスタリングでは、「耳」も勿論重要ですが、これらのメーター類は「耳」を強力に補完してくれ、マスタリングの作業をとても快適なものにしてくれます。

この感覚は、是非一度試してみるといいと思います。幸い、T-RackS 3はユーザ登録を行うと10日間無料で試用できます。マスタリング前の音源を用意したら、T-RackSを使ってマスタリングしたモノとT-RackSを使わずにマスタリングしたものを比べてみてください。個人的にも愛用していますが、六万円の価値が十分にあるソフトだと思っています。

T-RackS 3 (IK Multimedia内のページ)

T-RackS 3は通常版、デラックス版、クロスグレード版などさまざまなバージョンが用意されているので、購入する場合は注意しましょう。

デラックス版(もっとも豪華なバージョン)
他にIK Multimediaのソフトを購入済みの場合は、クロスグレード版で安く購入できます。
含まれるプラグインの種類が限定されたスタンダード版
購入するプラグインを個別に購入することも可能です

アンプシミュレータガイド2010

もはやハードウェアアンプシミュレータはいらない?

数年前はPODに代表されるハードウェアアンプシミュレータが、宅録におけるギター録音のツールとしては一般的でした。しかし、ここ数年間様々なメーカーから相次いでソフトウェアアンプシミュレータが登場し、2010年現在多くのDAWにも標準でソフトウェアアンプシミュレータが搭載されるようになりました。

ソフトウェアアンプシミュレータが登場した当初は、レイテンシーや負荷の問題があり賛否両論でしたが、最近ではマシンの性能向上などと相まってそれらの問題は少しずつ問題ではなくなってきています。後述のようなメリットがあることもあり、今後ギターの宅録におけるソフトウェアアンプシミュレータの存在はさらに一般的なものになってくるでしょう。

ソフトウェアアンプシミュレータのメリット

ギター録音は補正する時代に

ソフトウェアアンプシミュレータ自体の進歩に加えて、DAW側のピッチ補正機能/タイミング補正機能の普及も注目すべき存在です。従来からMelodyne等、録音した音のピッチやタイミングを自由自在に補正するソフトウェア/プラグインは存在していましたが、比較的高価でした。こういった機能がここ1-2年で急激に一般化し、GarageBand ’11等安価なDAWにも多く搭載されるようになってきました。

これを使うと、ちょっとしたタイミングのヨレなどを修正できるようになるため、特に打ち込みのスクエアなリズムとギターを親和させやすくなります。そのとき、既にアンプを通した音を加工するのと、アンプに通す前の生音を加工してからアンプ(シミュレータ)に通すのでは、後者の方が圧倒的に自然な音になります。ソフトウェアアンプシミュレータはギターの波形補正と非常に相性が良いのです。

低コスト、省スペース、即試奏、インストール…

ソフトウェアアンプシミュレータは機械機構を含まないこともあり、ハードウェアアンプシミュレータより安価です。また、最近ではダウンロード販売しているものもあり、物理的なスペースが極めて0に近いものも珍しくありません。トライアル版が用意されているものも多く、気が向いたらすぐに試奏、気に入ったらそのまま購入、ということができるのもハードウェアアンプシミュレータにはない魅力です。(オーディオインターフェイスは別途必要ですが)

機能/操作性は均衡

2010年現在、DAWに搭載されているものも含めると非常に多くのソフトウェアアンプシミュレータが世の中には存在します。無料で使えるものから数万円するものまで、値段の差はある程度ありますが、個人的な印象としては各ソフト/プラグインの音質/機能/操作性はどんどん均衡してきていると思います。DAWに付属している無料のものが、市販のソフトに比べて著しく劣っている、と一概には言えません。有料のものは無料のものに比べて、搭載しているアンプ/エフェクターの種類が豊富であることが多く、音色を使い分けたい、細かく作り込みたいユーザにとっては魅力的です。

ソフトの種類が多いため、どれを購入するべきか悩ましいところですが、個人的な印象としては2010年現在発売されている、有名どころのソフトウェアであれば、どれを購入しても後悔することはないくらい、機能性能は均衡してきていると思います。

円高+価格競争の激化

2010年現在、円高の影響と価格競争の影響によってソフトウェアアンプシミュレータの値段は総じて急激に買いやすい値段になってきています。このような状況はまだ今後しばらく続いていくと思いますが、既に上位グレードのソフトウェアでも2-3万円台に突入しているため、これ以上大幅に安くなっていく可能性は低いでしょう。

結論:とりあえずどれか一つ試してみるのが一番

2010年急激に発展し身近なものになってきたソフトウェアアンプシミュレータですが、前述の通りトライアル版が用意されているものがあったり、上位グレードでも2-3万円で手に入ること、機能や使い勝手が比較的均衡している状況などから、導入を検討されている方は是非一つ手頃なものを入手して試してみるのがよいと思います。

最後に、おすすめのアンプシミュレータをいくつかピックアップしておきます。

ギター録音初心者の方向け

Stealth Plug – オーディオインターフェイス付きのアンプシミュレータ。AmpliTubeシリーズの廉価版であるAmpliTube Liveが付属しています。ギター録音を試した事がない人におすすめ。
Guitar Rig Mobile – こちらも、オーディオインターフェイスつきの製品。Guitar Rig 3 LEが付属。

既にオーディオインターフェイスを持っていてギター録音をしたことがある人向け

AmpliTube 3 – 定番シリーズの最新上位バージョン。他にアップグレード版やクロスグレード版もあり。

GarageBand ’11が登場

20日に行われたアップルのイベント「Back to the Mac」で、iLife ’11が発表されました。iLife ’11にはMacの音楽制作ソフトとしておなじみのGarageBandの最新版も含まれています。

既に入門向けソフトとしては十分な機能を備えていたGarageBandですが、今回のアップデートではFlex Timeという生音源のタイミング補正機能やグルーブマッチングというトラックをまたいだグルーブ補正など、今まで上級者向けソフトにしかなかったような機能が搭載されました。トラックをまたいだグルーブ補正に関しては、他のDAWを見てもあまり例がない機能なので非常に楽しみですね。また、ギターアンプシミュレータやエフェクタの種類が増えており、全体的に生音源(とくにギター)に関する部分が強化されているようです。

実物が届き次第、レビュー記事をアップしようとおもいます。

アップル – GarageBand – Flex Timeをはじめとする様々な新機能。

[無料で試せる音源シリーズ]SampleTank FREE

前回のKontakt 4 Playerに続き、もう一つ現役で有力な総合音源を紹介します。

SampleTankはIK Multimediaが出している総合音源です。まさに前回の記事のKontaktのライバルとなるソフトウェアですが、両ソフトにはそれぞれメーカーの色、得意分野が現れており、一概にどちらが優れているとは言えません。

SampleTankには三種類の合成エンジンが搭載されており、その中でも注目すべきはSTRETCHというエンジンです。これはフォルマントを維持しながらピッチ調整やタイムストレッチを実現するエンジンなのですが、ノートの長さが長く、スムーズに音程の変化があるような音色で効果を発揮します。SampleTank FREEに含まれる音源では、女声ソプラノの141番Soprano Ahhなどの音色を試すと、その効果が非常によくわかると思います。

SampleTank 2.5にはXL、Lというグレードが用意されていますが、先日ついに無料バージョンとなるFREEがリリースされました。XL、Lと同じエンジンを搭載しながら500MBに及ぶ音色が用意されており、SampleTankの魅力を味わうには十分な内容となっています。

SampleTank FREE

SampleTankの上位版XL、Lには他のIK Multimedia製品を持っていると安く購入できるクロスグレード版なども用意されているのですが、円高の影響からか、あるいは製品がリリースされてから時間がたっているからなのか、2010年10月現在通常版の方も異様な安さで販売されているようです。なぜか、最上位版XLと上位版Lの値段が数百円くらいしか違わない現象まで発生しているので、この値段なら最上位版XLを買った方が得でしょう。にしても最近の価格破壊はすごい…。

最上位版 XL
上位版 L。ただし、値段差があまりないので上記XL版を買う方が得でしょう。

[無料で試せる音源シリーズ]KONTAKT 4 PLAYER

昔からサンプラーとして有名なNative InstrumentsのKONTAKTシリーズにも、無料バージョンであるKONTAKT 4 PLAYERが存在します。

KONTAKT 4 PLAYER | NATIVE INSTRUMENTS : PRODUCER

KONTAKT 4 PLAYERはその名前の通り、再生専用のソフトウェアです。KONTAKT 4と同等のエンジンが搭載されていて、PLAYERと同時に無料で配布されている400MBのライブラリをあわせて使う事で、音源として使用できます。

KONTAKT 4では、プリセット音源以外に自分で用意した素材などを自由にサンプリングして音源として使う事ができますが、KONTAKT 4 PLAYERではできません。しかし、KONTAKT 4を持っていても自分でサンプリングして使いたい素材と録音環境がなければ、その機能を使いこなすことはできません。KONTAKTはプリセット音源の品質も素晴らしいので、たとえサンプリング機能を使わなくても音源として購入する価値はあると思いますが、その前にどんなものか試してみたいという方は是非KONTAKT 4 PLAYERを試してみるといいと思います。

KONTAKT 4 通常版
学生の方は安価で購入できるアカデミック版もあります

[無料で試せる音源シリーズ]Waves GTR Solo

無料で試せる音源シリーズ第一弾はギター用アンプシミュレータソフトのGTR Soloです。

Guitar RigやAmpliTube等、近年ではPC上で動作する高音質なアンプシミュレータが多数販売されています。プロの現場でも使われる等、その品質についても一定の評価がされるようになりました。

ソフトウェアアンプシミュレータは実際のアンプに比べて、圧倒的に低いコストとスペースで取り揃えることができるのがなによりの魅力です。ハードウェアアンプシミュレータと違って、無料で使えるバージョンが用意されているものもあるので、ハードディスクのスペースが許す限り、どんどん試してみましょう!

WavesのGTRシリーズも無料で使えるバージョンが用意されているアンプシミュレータの一つです。GTR3というフルバージョンは元値が3万円程度のソフトウェアですが、アンプやエフェクターの数を限定したGTR Soloという低価格バージョンの二つのグレードが用意されているのですが、なんとこのGTR Soloの方はユーザ登録をすると無料で1年間使用できます。ユーザ登録は英語なのですが、手順等が日本の代理店のMedia Integrationのホームページにて説明されています。特にソフトウェアアンプシミュレータを使用したことがない方は是非試してみてください!

最近はアンプシミュレータ全体も値下げ競争が若干過熱気味であったり、円高による影響などで、実は上位バージョンのGTR3自体も2010年10月時点で1万円台前半で購入可能になっているようです。GTR Soloは製品として購入すると9000円くらいするので、気に入って購入する場合は上位バージョンのGTR 3の方が当然ながらおすすめです。

GTR 3 – GTR Soloの上位バージョン
AmpliTube 3 – ギターアンプシミュレータ。3になってから特にハイゲイン系の音が使いやすくなった感じがあります。

BFD Nanoが発表

NAMM 2010でFXpansionからドラム音源のBFD Nanoが発表されました。BFDといえば、もはやドラム音源の定番となっていますが、高機能ゆえに初心者には若干扱いが難しかった部分もありましたが、BFD Nanoではライブラリの容量を小さくし、インターフェイスも簡略化することで、より簡単に扱えるようになっているようです。

発売は4月頃とのこと。

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=j0jGhPyMQSs]

AmpliTube 3が発表

PC用ギター/ベースアンプシミュレータソフトのAmpliTubeの最新版「AmpliTube 3」の情報が、IK Multimediaのホームページ上で発表されました。51のエフェクター、31のアンプヘッド、46のキャビネット、15のマイク、17のポストアンプラックエフェクトが搭載され、現行版のAmpliTube 2よりもさらに強力になっているようです。

発売日はまだアナウンスされていませんが、ホームページ上では先行予約の受付が行われており、通常版は349.99ドル、クロスグレード版は269.99ドル、アップグレード版は199.99ドルとなっています。ホームページ上でサウンドサンプルが聴けます。

なお日本の代理店であるMedia Integrationでは、AmpliTube 3発売に先駆け現行のAmpliTube 2, AmpliTube Jimi Hendrix, AmpliTube Metalが期間限定でそれぞれ14,700円で販売されています。AmpliTube 3の正規版とアップグレード版の差額は150ドルなので、AmpliTube 2を買ってアップグレードするというのも悪くないですね!

Amplitube 3 (IK Multimediaのサイト内)



●IK Multimedia Amplitube 2 【期間限定特価】


●Ik Multimedia AmpliTube 2 Jimi Hendrix Edition 【期間限定特価】


●Ik Multimedia AmpliTube Metal 【期間限定特価】