アンプシミュレータガイド2010

もはやハードウェアアンプシミュレータはいらない?

数年前はPODに代表されるハードウェアアンプシミュレータが、宅録におけるギター録音のツールとしては一般的でした。しかし、ここ数年間様々なメーカーから相次いでソフトウェアアンプシミュレータが登場し、2010年現在多くのDAWにも標準でソフトウェアアンプシミュレータが搭載されるようになりました。

ソフトウェアアンプシミュレータが登場した当初は、レイテンシーや負荷の問題があり賛否両論でしたが、最近ではマシンの性能向上などと相まってそれらの問題は少しずつ問題ではなくなってきています。後述のようなメリットがあることもあり、今後ギターの宅録におけるソフトウェアアンプシミュレータの存在はさらに一般的なものになってくるでしょう。

ソフトウェアアンプシミュレータのメリット

ギター録音は補正する時代に

ソフトウェアアンプシミュレータ自体の進歩に加えて、DAW側のピッチ補正機能/タイミング補正機能の普及も注目すべき存在です。従来からMelodyne等、録音した音のピッチやタイミングを自由自在に補正するソフトウェア/プラグインは存在していましたが、比較的高価でした。こういった機能がここ1-2年で急激に一般化し、GarageBand ’11等安価なDAWにも多く搭載されるようになってきました。

これを使うと、ちょっとしたタイミングのヨレなどを修正できるようになるため、特に打ち込みのスクエアなリズムとギターを親和させやすくなります。そのとき、既にアンプを通した音を加工するのと、アンプに通す前の生音を加工してからアンプ(シミュレータ)に通すのでは、後者の方が圧倒的に自然な音になります。ソフトウェアアンプシミュレータはギターの波形補正と非常に相性が良いのです。

低コスト、省スペース、即試奏、インストール…

ソフトウェアアンプシミュレータは機械機構を含まないこともあり、ハードウェアアンプシミュレータより安価です。また、最近ではダウンロード販売しているものもあり、物理的なスペースが極めて0に近いものも珍しくありません。トライアル版が用意されているものも多く、気が向いたらすぐに試奏、気に入ったらそのまま購入、ということができるのもハードウェアアンプシミュレータにはない魅力です。(オーディオインターフェイスは別途必要ですが)

機能/操作性は均衡

2010年現在、DAWに搭載されているものも含めると非常に多くのソフトウェアアンプシミュレータが世の中には存在します。無料で使えるものから数万円するものまで、値段の差はある程度ありますが、個人的な印象としては各ソフト/プラグインの音質/機能/操作性はどんどん均衡してきていると思います。DAWに付属している無料のものが、市販のソフトに比べて著しく劣っている、と一概には言えません。有料のものは無料のものに比べて、搭載しているアンプ/エフェクターの種類が豊富であることが多く、音色を使い分けたい、細かく作り込みたいユーザにとっては魅力的です。

ソフトの種類が多いため、どれを購入するべきか悩ましいところですが、個人的な印象としては2010年現在発売されている、有名どころのソフトウェアであれば、どれを購入しても後悔することはないくらい、機能性能は均衡してきていると思います。

円高+価格競争の激化

2010年現在、円高の影響と価格競争の影響によってソフトウェアアンプシミュレータの値段は総じて急激に買いやすい値段になってきています。このような状況はまだ今後しばらく続いていくと思いますが、既に上位グレードのソフトウェアでも2-3万円台に突入しているため、これ以上大幅に安くなっていく可能性は低いでしょう。

結論:とりあえずどれか一つ試してみるのが一番

2010年急激に発展し身近なものになってきたソフトウェアアンプシミュレータですが、前述の通りトライアル版が用意されているものがあったり、上位グレードでも2-3万円で手に入ること、機能や使い勝手が比較的均衡している状況などから、導入を検討されている方は是非一つ手頃なものを入手して試してみるのがよいと思います。

最後に、おすすめのアンプシミュレータをいくつかピックアップしておきます。

ギター録音初心者の方向け

Stealth Plug – オーディオインターフェイス付きのアンプシミュレータ。AmpliTubeシリーズの廉価版であるAmpliTube Liveが付属しています。ギター録音を試した事がない人におすすめ。
Guitar Rig Mobile – こちらも、オーディオインターフェイスつきの製品。Guitar Rig 3 LEが付属。

既にオーディオインターフェイスを持っていてギター録音をしたことがある人向け

AmpliTube 3 – 定番シリーズの最新上位バージョン。他にアップグレード版やクロスグレード版もあり。