アンプシミュレータ検証1

アンプシミュレーターのメリットをご紹介。

アンプシミュレーターとは

アンプシミュレーターとは、その名のとおり「アンプ」を「シミュレート」するもの-つまり、アンプを通さずにアンプで鳴らしたような音を再現する機材です。巨大なアンプを鳴らして録音するのが難しい宅録などの場合では、上手に使うと非常に大きな力を発揮します。

注意
・最後は結局音質などは聴いてみないと人によって好み、感じ方も分かれてくるので参考程度にどうぞ:)
・製品のスペック・性能については、製品のバージョンアップや情報の誤植などで実際に販売されている製品と異なる可能性があります。必ず購入前にメーカーHP等で十分に確認することをオススメします。
・特定の製品の販売促進を目的としているわけではありません。

本物のアンプの音は本物のアンプの音でしか作れない

アンプシミュレーターの評価をするときに、よく評価のポイントのなるのが、いかに本物のアンプの音に似ているかです。アンプシミュレーターの名前を考えても、現実のアンプの音をいかに再現できるかというところに焦点が置かれているのは事実です。ここ数年はあの有名なLine6社のPODシリーズやBehringer社のV-AMPなど、たくさんの種類のアンプシミュレーターが登場し、各社ともに、いかに本物のアンプの音に近い音を出せるか、しのぎを削っており、そのクオリティの向上には目を見張るものがあります。

しかし、結局のところ本物のアンプをマイクで録音した音は、スタジオの空気やマイクの角度、マイクの性能、電圧、アンプの回路の劣化・あるいは気温による微妙な音質の変化などが影響しており、その次元までアンプシミュレーターで細かく設定することはできないので、本物のアンプの音は本物のアンプでしかだせないという事実は、今後アンプシミュレーターがどこまで進化しても変わることはないでしょう。

しかし、だからといって本物のアンプが優れていて、アンプシミュレーターがダメということはありません。アンプシミュレーターはその性質を理解してうまく使うことで、非常に強力な武器となります。

手軽に録音できる

日本の住宅環境を考えた場合、大型スタックアンプを大音量で鳴らすことができるケースは、あまり多くはないでしょう。かといって、小型のアンプで小さな音で鳴らして録音しても、薄っぺらい音になってしまう。ここで活躍するのがアンプシミュレーターです。

アンプシミュレーターでは、マイキングなどが必要なく、ギターとアンプシミュレーターをつないだら、あとはオーディオインターフェイスやミキサーにラインで接続するだけで録音ができます。そのため、音量の問題を気にすることなくギターを録音することができます。もちろん、アンプシミュレーターではなくエフェクターをラインで接続することでも録音することは可能ですが、エフェクターは大概そのままの音をラインで録音するのではなく、アンプで鳴らすことを想定してつくられているため、そのままラインで録音してもアンプを通したような音にはあまりなりません。

アンプをマイクで録音するのに比べると、ほかにもマイキングの手間が省ける、設定を保存しておけば簡単に同じ音量・音質を再現できるといったメリットがあります。ただ、音楽の場合はあんまり音質が均一になりすぎてしまうと、ききやすくなる反面、人間味・温かさを失ってしまう可能性もあるので、部分ごとに音色を少しずついじっていくといった作業もあったほうがいいかもしれません。

安く手にはいる

本物の大型アンプは一台何十万円といった値段がすることが珍しくありません。しかも一つのアンプでだせる音の範囲というのは限られています。歪んだ音はMarshallの音がほしいけど、クリーンな音はジャズコ、ブルースをやるときはTwin Reverbの音がほしいし、ハードなのをやるときはRectifierがほしい…これを全部そろえるのは、金銭的にも空間的にもなかなか困難なのではないかなと思います。

アンプシミュレーターは、安いものであれば数千円から手に入り、数万円あればなかなかのものが手に入ります。一台で何十ものアンプの音をモデリングしたアンプシミュレーターもあります。

本物のアンプの音が必ずしもいい音ではない

アンプシミュレーターは、実際にアンプでならしたような音を録音可能にしてくれますが、それは機械的に再現されたものであり、本物の音ではありません。
先にも述べたとおり、本物のアンプの音は本物のアンプでしか出せません。
アンプシミュレーターの音は、「機械的である、臨場感がない、味がない」と評価する人もいます。

たしかに、本物のアンプの音は本物のアンプからしかでません。しかし、音として、本物のアンプの音が優れていて、アンプシミュレーターからでる音が劣っていることではありません。アンプシミュレーターから出る音は、本物に似ているかどうかという点より、音色として良いかどうかで判断すると、筆者は悪いものではないと考えています。アンプシミュレーターだから、名前のとおりに本物のアンプに近い音に設定して録音しなければいけないということはありません。アンプシミュレーターは、録音に適した本物のアンプに似ている違うアンプとして考えることで、より効果的につかえるのではないかと思っています。

もちろん限界はあります。本物のアンプを使ったほうがいい音がとれる場合もたくさんあります。しかし、それを考慮したうえでも、音作りの一つの選択肢としてアンプシミュレーターを導入することは悪くないと思います。

購入する前に

メーカーのホームページなどで実際に音を確認できることがよくあります。買った後で、予想と違う、好みの音が入っていないといったようなことにならないように、一度メーカーのホームページを調べることをお勧めします。

また、購入後に初期段階ではいっているプリセットをそのまま使うより、自分で音質を調整した方が自分好みな音を作れます。操作に慣れてきたら、ぜひいろいろいじってみましょう。

豊富なラインアップ

最近では、アンプシミュレーターも非常に多くの製品が発売されており、その形態も多岐にわたります。数年前までは、アンプシミュレータといえば赤い独特の形状をした筐体のPODが有名でしたが、今ではオーディオインターフェイス機能を持つもの、ポケットにおさまるサイズのもの、パソコン上で動作するものなど、新しい形態の製品が次々に登場しています。

次回の記事では、それらの製品についてご紹介していきます。

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